ザビエルが長崎で最初に訪れたまち「平戸」
大陸との重要な航路の拠点だった平戸は、天文19(1550)年にフランシスコ・ザビエルが訪れて以来、キリスト教布教活動の中⼼的な場所となりました。
そのため、平戸にはキリシタン関連のスポットが数多く点在し、その信仰や文化は大切に守られてきました。
世界文化遺産「⻑崎と天草地⽅の潜伏キリシタン関連遺産」のなかでも、平戸には、「平戸の聖地と集落」として2か所の構成資産が存在します。
また平戸の春⽇集落は「国の重要文化的景観」にも選ばれており、海に閉ざされた離島の⽣活の中で、棚⽥群や牧野、居住地など、独特な景観が作り出された、貴重な場所でもあるのです。
カメラ⽚⼿に「春⽇集落」を巡る
「平戸の聖地と集落」に含まれる「春⽇集落」について知りたいなら、まずは春⽇集落案内所「かたりな」に⾏くのがおすすめ。
世界文化遺産「⻑崎と天草地⽅の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつである「春⽇集落」を今に伝える拠点ともいえる場所です。
地元の春⽇住⺠である「語り部」の⽅々が毎⽇常駐しており、のんびりとお茶をいただきながらお話を聞くことができるので、休憩場所にもぴったりです。
⽥舎に遊びにきたような気持ちで、ゆったりとお話を伺った後は、実際に春⽇集落や棚⽥を巡りたくなるはず。
絶好の写真撮影ポイントもたくさんあるので、カメラを⽚⼿に巡ってみるのも良いかもしれません。
なかでも、春⽇集落のほぼ中央に位置し、そのその全景を⼀望できる「丸尾⼭」からの景⾊は⼀⾒の価値ありです。
『頂上まで3分がんばれ!』という張り紙に背中を押されて、⼩⾼い⼭を上りきると、ここからみえる360°ビューの棚⽥は大迫⼒。
キリシタンの弾圧が厳しくなる以前は、ここに十字架が建てられていたのだそうです。
生月大橋を渡り「生月島」へ
春日集落からほど近い「生月島」は、1991(平成3)年の「生月大橋」の開通により、平戸島との陸路での往来が可能になった島。
自家用車であれば1時間程度でひとまわりすることができる小さな島なので、美しい自然を感じてドライブしながら、キリシタン関連スポットをめぐることができます。
生月大橋のたもとにある「道の駅 生月大橋」には、売店や観光案内所、展望所などがあり、パノラマに広がる海と、そこに架かるきれいなスカイブルーの「生月大橋」をながめながらゆっくりと過ごすことができます。
道の駅から車で3分の「生月町博物館 島の館」は、かくれキリシタンについての展示も充実しているので、ぜひ訪れてほしい穴場スポットです。
日本最古の捕鯨業関係の史料等、ジオラマや映像でわかりやすく展示されているので、見応えたっぷり。楽しみながら生月町の魅力に触れることができますよ。
生月大橋から車で5分ほどのところには、生月で最初の殉教者となったガスパル(洗礼名)西玄可の墓があります。
ここから程近い山田教会にある十字架は、ガスパル様の墓に植えられていた松の木から作られたものなのだそう。
島の反対側、海岸まで山道を下っていった断崖の下に、ひっそりとあるのは「ダンジク様」のお墓。
こちらは、夫婦と子ども一人のキリシタンの一家が殉教した場所なのだそうです。
生月島に来たならぜひ訪れてほしいのは、島の最先端にある「大バエ灯台」。
断崖絶壁にたたずむ白い灯台から望む海と断崖は絶景です。
生月島西側の海岸に沿って走る「生月サンセットウェイ」は、自動車のCMのロケ地になるほど美しいドライブコースなので、帰りにこちらを通るのもよいかもしれません。
各地に散らばるキリシタン関連の遺産たち
平戸市内には、この他にも、各地にキリシタン関連遺産や教会が点在しています。
平戸に現存しているなかでも最古と言われる「宝亀教会」、平戸瀬戸に望む丘に建つ「田平天主堂」、内観のステンドグラスが美しく輝く「紐差教会」など、美しい姿の裏に、それぞれ独自の歴史がある教会ばかりです。
さらに、根獅子集落にある「ウシワキの森」まで足を伸ばせば「切支丹資料館」で、キリシタン関連の資料に触れることもできます。
平戸の長い歴史のうちに深く刻まれているキリシタンの信仰と文化。
平戸の美しい自然のなかに大切に守られてきた、キリシタン関連の歴史を伝えるスポットを、ぜひめぐってみてください。